花粉症に乳酸菌サプリメントは効く?本当に効果があるの?
「花粉症に乳酸菌サプリメントは効く?」「本当に効果があるの?」という疑問に対しては、乳酸菌・プロバイオティクスとアレルギー性鼻炎の関係を調べた人を対象とする研究は数多くあり、複数の研究をまとめたメタ解析でも、鼻症状やQOL(生活の質)の改善が報告されています。
つまり、「乳酸菌と花粉症・アレルギー性鼻炎の関係には科学的な研究結果がある」ことは事実です。一方で、すべての乳酸菌で同じ結果が確認されているわけではありません。乳酸菌は菌株によって性質が異なり、研究で使用された菌株・摂取量・摂取期間・対象者によって結果にも違いがあります。
そのため、正確には「乳酸菌サプリなら何でも花粉症に効く」のではなく、花粉症やアレルギー性鼻炎との関係について研究され、一定の結果が報告されている乳酸菌・菌株があると考えるのが適切です。
なお、一般的な乳酸菌サプリメントや食品は、法律上、医薬品のように「花粉症に効果がある」と表示することはできません。研究結果があることと、商品に「花粉症に効く」と表示できることは別の問題です。
「乳酸菌に関する研究があること」「ヒト試験で差が確認されること」「特定の商品で同じ結果が得られること」「医学的に標準治療として推奨されること」は、それぞれ意味が異なります。この違いを整理しながら、乳酸菌と花粉症の科学的根拠を見ていきます。
「乳酸菌なら何でも花粉症に効く」わけではない
乳酸菌は一種類ではなく、多くの菌種・菌株があります。同じ「乳酸菌」という名前でも性質は異なるため、ある菌株で報告された研究結果を、別の菌株や別の商品へそのまま当てはめることはできません。
商品を確認するときは「乳酸菌配合」という表示だけで判断せず、L-92、LGG、BB536など菌株まで特定できるかを見ることが重要です。
乳酸菌と花粉症の科学的根拠はどのくらいある?
乳酸菌とアレルギー性鼻炎については、単独のヒト試験だけでなく、複数のランダム化比較試験をまとめた系統的レビュー・メタ解析も行われています。2022年の28研究を対象としたメタ解析では、プロバイオティクス群でアレルギー性鼻炎の症状とQOLの改善が報告されました。一方、研究間のばらつきは大きく、総IgE・特異的IgEでは有意な変化が確認されませんでした。
2015年の23研究・1,919人をまとめたレビューでも、17研究で少なくとも1つの評価項目に臨床的な利益が報告されましたが、6研究では利益が確認されていません。「研究結果がある」ことと「すべての乳酸菌で一貫して効果が確認されている」ことは分けて考える必要があります。
このため、乳酸菌サプリの科学的根拠を見るときは、研究の数だけでなく次の点を確認します。
① ヒトを対象にした研究か
細胞や動物で確認された作用が、そのまま人の花粉症症状に現れるとは限りません。症状への影響を見る場合は、ヒト試験があるかを確認します。
② 比較対象がある研究か
摂取した人だけを見る研究より、プラセボなどの比較対象を置いた研究の方が、摂取による差を検討しやすくなります。
③ 何が変化したのか
鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状、目の症状、QOL、血液中の指標など、研究によって評価項目は異なります。「何に差が確認されたのか」まで見る必要があります。
④ 複数の研究で結果が再現されているか
一つの研究で差が出ても、別の研究では差が確認されない場合があります。単独の研究だけでなく、複数の研究やレビューで結果がどの程度一致しているかを見ることが大切です。
なぜ乳酸菌の研究結果は一致しないの?
乳酸菌の研究結果に違いが出る理由として、菌株、摂取量、摂取期間、対象者、対象となるアレルギー、評価方法などの違いがあります。
| 違い | 確認したいポイント |
|---|---|
| 菌株 | 同じ乳酸菌でも菌株が同じか |
| 摂取量 | 研究と商品で摂取量が近いか |
| 摂取期間 | 何週間・何か月摂取した研究か |
| 対象者 | スギ花粉症、アレルギー性鼻炎など対象が同じか |
| 評価項目 | 症状、QOL、血液指標など何を評価したか |
そのため、「ある乳酸菌で良い研究結果があった=乳酸菌なら何でも同じ」ではありません。
花粉症との関係が研究されている主な乳酸菌
乳酸菌には多くの菌株があり、花粉症・アレルギーとの関係について研究されているものがあります。ここでは代表例を入口として紹介します。
L-92乳酸菌
アレルギーや季節性の鼻症状などとの関係について研究されてきた菌株です。
詳しく見る →BB536
ビフィズス菌の一種。腸内環境に加え、鼻の不快感などを対象とした食品にも利用されています。
詳しく見る →LGG乳酸菌
世界的に研究例の多い菌株の一つで、腸内環境やアレルギーとの関係も研究されています。
詳しく見る →乳酸菌ヘルベ
季節性の目や鼻の不快感との関係を対象にした商品にも使われています。
詳しく見る →機能性表示食品なら「花粉症に効く」と言える?
機能性表示食品は、事業者が安全性と機能性に関する科学的根拠などを消費者庁へ届け出て、届出された範囲の機能を表示する食品です。しかし、医薬品ではなく、花粉症という疾病の治療・予防を目的としたものではありません。
乳酸菌商品を見る場合も、「機能性表示食品」という文字だけでなく、実際に何の機能が届け出られているのかを確認する必要があります。免疫機能の維持を対象とする商品と、季節性の目や鼻の不快感などを対象とする商品では、届出の内容が異なります。
耳鼻科医・医学的には乳酸菌サプリをどう見る?
医学的に見ると、乳酸菌・プロバイオティクスについてアレルギー性鼻炎の症状やQOLの改善を示した研究やメタ解析はあります。一方で、研究ごとに菌株・対象者・摂取量・評価方法が異なり、結果のばらつきも大きいため、現時点では抗ヒスタミン薬、点鼻薬、点眼薬などと同じ標準的な花粉症治療として確立しているわけではありません。
したがって医学的な見方は、「乳酸菌には根拠がない」ではなく、「有望な研究結果はあるが、どの菌株を誰にどの条件で使えばよいかまで一律に確立していない」と整理するのが適切です。症状が強い場合や日常生活に支障がある場合は、サプリだけに頼らず医療機関へ相談してください。
花粉症薬と乳酸菌サプリは何が違う?
| 花粉症薬 | 乳酸菌サプリ | |
|---|---|---|
| 分類 | 医薬品 | 食品 |
| 目的 | 花粉症症状の治療など | 食生活・健康維持を補う |
| 見るポイント | 有効成分・用法・副作用 | 菌株・摂取量・研究・届出表示 |
乳酸菌サプリを薬の代わりと決めつけず、それぞれの役割を分けて考えることが大切です。
花粉症に乳酸菌サプリを選ぶなら何を見る?
1. 菌株まで確認する
「乳酸菌○億個」だけではなく、研究と照らし合わせられる菌株名が表示されているかを確認します。
2. ヒト研究があるかを見る
花粉症やアレルギー性鼻炎を対象としたヒト研究があるのか、細胞・動物研究だけなのかを区別します。
3. 商品の届出表示を見る
機能性表示食品の場合は、商品名だけでなく届出された機能の内容を確認します。
4. 研究条件と商品の条件を比べる
研究で使われた菌株・摂取量・期間と、実際の商品がどの程度対応しているかを確認します。
5. 続けやすさ・安全性も確認する
価格、1日の摂取目安量、アレルギー表示なども確認し、体質や服薬状況に不安がある場合は医師・薬剤師へ相談してください。
花粉症と乳酸菌サプリについてよくある質問
花粉症に乳酸菌サプリは効くのですか?
乳酸菌・プロバイオティクスについては、アレルギー性鼻炎の症状やQOLの改善を報告したヒト試験やメタ解析があります。ただし、すべての菌株・商品で同じ結果が確認されているわけではないため、菌株ごとの研究を見る必要があります。
ヨーグルトでも同じですか?
ヨーグルトにも乳酸菌は含まれますが、菌株や摂取量は商品によって異なります。研究対象となった菌株と同じかを確認することが大切です。
花粉症にはどの乳酸菌がいいですか?
一つの菌株をすべての人に最適とすることはできません。花粉症・アレルギー性鼻炎を対象としたヒト研究の有無や、商品の届出表示などを比較してください。
機能性表示食品なら花粉症に効果がありますか?
機能性表示食品でも医薬品ではありません。何について機能性が届け出られている商品なのかを確認する必要があります。
花粉症薬と併用できますか?
食品であっても、服薬中・治療中の方や持病がある方は、商品表示を確認し、必要に応じて医師・薬剤師へ相談してください。
いつから飲み始めればいいですか?
研究によって摂取開始時期や期間は異なります。「花粉シーズンの何か月前なら必ずよい」と一律には言えないため、研究条件と商品の摂取目安を確認してください。
菌数が多いほど花粉症にいいですか?
菌数だけで判断することはできません。まず菌株とその研究内容を確認し、そのうえで研究時の摂取量と商品量を比べることが重要です。
子どもでも摂れますか?
対象年齢や摂取目安は商品ごとに異なります。子ども向けの商品表示を確認し、治療中の場合などは医師へ相談してください。
まとめ|「乳酸菌が効く?」ではなく菌株と研究を見る
乳酸菌・プロバイオティクスとアレルギー性鼻炎の関係には、ヒト試験やメタ解析による科学的な研究結果があります。症状やQOLの改善が報告されている一方、すべての研究・すべての菌株で同じ結果が確認されているわけではありません。
したがって、「乳酸菌サプリは花粉症に効く・効かない」と一括りにするのではなく、どの菌株に、どのようなヒト研究があり、どの程度結果が再現されているのかを見ることが重要です。さらに、研究結果があることと、一般的な食品が「花粉症に効く」と表示できることは別の問題です。